生活習慣病として知られている、高血圧。この高血圧、自覚症状もほとんどなく、なにか命に関わるイメージがない人も多いためあまり意識して生きている人はいないのではないでしょうか?しかし、高血圧は最悪死を招きます。高血圧の原因と治療法から、高血圧にならない体を得ましょう。

血圧測定機と女の人
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運動時・興奮時ではなく、安静状態での平均的な血圧の数値が高い状態を高血圧といい、生活習慣病のひとつとして知られています。
高血圧症自体は大きな痛みや障害もなく自覚症状もほとんどありませんが、放置すれば虚血性心疾患や脳卒中、腎不全といった重大な病気の発症原因となる危険な症状です。
罹患者は非常に多く、国内で約4000万人が高血圧と推定されています。

ここでは高血圧の具体的な症状やその種類、それらを引き起こす原因に関してはもちろん、血圧そのものについてや血圧が上昇する仕組みなどを詳しく解説していきます。
どういった理由があって高血圧を解消すべきなのか、改善する方法の具体例などについても学んでいきましょう。

そもそも血圧が上がる理由

血圧の変動は、心拍出量・循環血液量・抹消血管抵抗、血液粘稠度の4つの要素が絡み合って生じます。
この中でも、心臓から血管へと送り出す血液量を示す心拍出量と、抹消動脈に血液が流れる抵抗量を示す末梢血管抵抗の数値に異常が出た場合、特に血圧が高くなりやすいとされています。

血圧が上がる要因に関しては、先天的なものと後天的なものが分かれますが、大抵は後天的なものによります。
先天的な理由としては、両親ともに高血圧である場合であり、高血圧になりやすい体質の遺伝が挙げられます。
遺伝する確率は両親ともに高血圧である場合は50%、片方の親だけの場合は約33%、両親ともに血圧が正常な場合は5%程度とされています。
しかし、環境によるものが大きく、食生活や生活習慣のリズムが同じになりやすいことから、先天的理由と後天的理由を切り離して考えることは困難です。

また、後天的理由ではあるものの免れにくい理由として、加齢による血管の老化が該当します。
血管の老化により、動脈硬化が引き起こされて血圧の上昇を招きやすくなります。
この状態を放置すれば、脳や腎臓の細い血管が動脈硬化を起こす細動脈硬化へと発展し、血管が破裂して脳出血を起こす可能性が高くなります。

食生活の乱れは、代表的な高血圧の原因のひとつです。
中でも塩分の摂り過ぎは深刻で、塩分濃度を均等に保とうとする働きである浸透圧によって血液量が増えて血圧が上昇しやすくなるとされています。
肉や油っこい食べ物など、動物性脂質ばかりを摂取する生活を送っていると、血液中の悪玉コレステロールを増やす結果に繋がります。
この状態が進行すると血管壁に悪玉コレステロールが蓄積して、血管を狭める「動脈硬化」を発症します。
そのため、血圧が上昇して心筋梗塞や脳梗塞に罹患する可能性を高めてしまいます。

脂っこい食事や塩分の摂り過ぎに伴って起きる現象に肥満がありますが、こちらも血圧を高める原因です。
内臓の周囲に脂肪が蓄積される内臓脂肪型肥満の状態だと、血液の粘度が高くなります。
加えて、そういった生活にはアルコールの過剰摂取が背景にある場合が多く、過度にアルコールを摂取することで、血管を収縮させて血圧を上昇させてしまいます。
交感神経を刺激して、血圧を上昇させる作用があるタバコも危険因子です。

血圧は自律神経によってコントロールがなされていますが、この中の交感神経はストレスを受けることによって活性化します。
これにより脳が興奮状態となり、アドレナリンが大量に分泌されて血液量が増し、血圧が上昇してしまいます。
これに加え、肉体的ストレスである疲労や睡眠不足が蓄積されても、同様に高血圧の原因となります。

この他にも、運動不足によっても血圧は上昇します。
運動が足りずに筋力が低下し、筋肉で構成されている血管までもが硬くなるからです。
そのため、血管の伸縮運動が制限されて、血行が悪くなります。
血液には酸素と栄養を全身に届ける重要な役割があり、血行が悪くなると血液量を増すために心臓からの血流が増加します。
ポンプが押し出す力がどんどん上昇するため、血圧が上昇する要因となります。

日常生活が原因の高血圧

数回の血圧検査を実施した平均値から割り出すもので、収縮期血圧(最高値)が140mmHg以上、もしくは拡張期血圧(最低値)が90mmHg以上の状態が高血圧です。
90%の患者が原因を特定できないとされていますが、高血圧になりやすい体質が遺伝することや、日常生活における生活習慣の乱れが加わることで高血圧になる事実は解明されています。
このような原因のはっきりとしない高血圧を本態性高血圧と呼びます。
この状態を放置すると血圧がさらに上がるだけでなく、さまざまな臓器に悪影響が出ます。
一方、内臓疾患など血圧が上昇する原因がはっきり分かっている場合は、二次性高血圧に分別されます。

本態性高血圧(一次生高血圧)は、罹患する原因ははっきりしていません。
両親からの体質の遺伝や生活習慣・食生活、加齢による血管の老化など複数の原因が混ざりあって、高血圧の状態を生み出しているとされています。
主な原因としては、先述の通り塩分の摂り過ぎやアルコールの飲み過ぎ、動物性脂質の摂り過ぎなどによる内臓脂肪の蓄積・肥満、日々のストレスや過労・睡眠不足などが血圧の上昇に影響を与える因子です。

原因が特定しづらい上に、本態性高血圧には目立った前駆症状や罹患中の特徴的な症状は存在しません。
早期の段階では一応、頭痛や首・肩こり、倦怠感といった症状が見られますが、単なる疲労や感冒の前駆症状とほとんど変わりはないため、気付くケースは非常に稀です。
そのため、一般的には高血圧によって引き起こされる原因疾患特有の発作や家族の病歴、血液検査などで判断されます。
健康診断や他の病気での診察の際に血圧測定を行って、病状に気が付くケースが多いです。
この状態で放置すると心臓への負担が大きくなり、血管が硬化して虚血性心疾患・脳卒中を引き起こすリスクが高まります。

高血圧を診断するには、一度や二度ではなく何度か血圧を測って記録しながら算出します。
運動や食事、体調によって左右されるのはもちろん、ストレスや環境によっても数値が変動するからです。
病院で医師の前に座ると緊張から血圧が上昇する「白衣性高血圧」と呼ばれる現象もあるため、計測装置を装着して24時間測定したり、数日間測定するケースもあります。
ホルモンの検査や内臓の病気がないことが判明すると、その時点で「本態性高血圧」と診断されます。

二次性高血圧の場合は血圧上昇の原因となる病気の治療が中心となります。
しかし原因が複合的な本態性高血圧の場合は、症状が重度でない場合は血圧を下げる降圧剤による投薬治療と併せて、有酸素運動や食事指導といった日常生活の改善で治療を行います。
いずれも治療の際は、目標とする血圧の数値が設定されます。
一般的には最大値140mmHg・最小値90mmHg未満、心臓や腎臓に疾患を抱えている場合は130mmHg・80mmHg未満を目標とします。

二次性高血圧とは

体質や遺伝、生活習慣や加齢など複数の要素が重なり合って起きる本態性高血圧に対して、内臓疾患など身体に何らかの原因・疾患を抱えていることが原因で起きる症状を二次性高血圧と呼びます。
高血圧症全体から見て10~15%がこれに該当し、ホルモン分泌異常や腎臓疾患、薬剤の副作用といったものが原因で起きると考えられています。
本態性とは異なり、通常の降圧剤による治療で改善されない場合もあるものの、原因である疾患を改善・治療すれば血圧は下がります。
特徴としては、急に発症したり血圧が極度に高かったり、年齢が若いのに発症したり、薬剤の効果が薄いなどが挙げられます。

二次性高血圧の原因となる疾患は、腎炎や多発性のう胞腎など腎性高血圧、大動脈炎症候群や大動脈縮窄症などの血管性、原発性アルドステロン症・クッシング症候群などの内分泌性や脳腫瘍・脳炎などの神経症などが主なものです。
ここからは、具体的に細かい症状を見ていきましょう。

腎性高血圧のうち、腎臓の機能が低下することで塩分などが体に溜まり血圧を上昇させるのが腎実質性高血圧です。
腎不全の治療と同じように、1日の塩分量を制限することで改善していきます。
腎臓に血液を送る血管が狭窄することで起きる腎血管性高血圧も、血圧が上昇する原因です。
尿を生成する際に血圧を十分に流し込もうとして、狭い血管に血液を通すため血圧が上昇する仕組みです。
これらは比較的高度なものとなり、血圧を下げるのが困難であるケースが多いです。
動脈硬化によるものも多く、若年層であった場合は大動脈炎症候群や線維筋性異形成といった特殊な病気を併発することもあります。

内分泌症に挙げられる原発性アルドステロン症は、腎臓付近にある副腎から血圧を上昇させるホルモン・アルドステロンが過剰に分泌されることで発症します。
大抵はホルモンの採血検査によって発覚し、CTなど精密な画像検査・カテーテル検査によって特定されます。
両側のうちの一方の副腎のみが異常である場合、副腎を摘出する手術によって血圧の改善・治癒が可能です。
内分泌症の中では最も多いですが、手術適応がなくても効果が期待できる内服薬に頼るといった手段もあります。
この他有名なものとしては、甲状腺ホルモン・副甲状腺ホルモンの異常が挙げられます。

副腎にまつわる疾患としては、クッシング症候群も該当する症状のひとつです。
アルドステロン症と同じように、ホルモンが過剰に分泌されることが原因であり、クッシング症候群の場合はコルチゾールが大量分泌されることが原因です。
目立った症状としては血圧の上昇以外に、顔・胸腹部の皮下脂肪が増えたり、血糖値の上昇が見られます。
改善策としては内服薬による治療、もしくは脳下垂体・副腎など原因部位の手術が主体です。

この他に、痛み止めや甘草を含む漢方薬など特有の医薬品によって血圧が上昇する場合もあります。
これを薬剤性高血圧と呼び、薬の変更や中止などを視野に入れた治療が主体となります。
ただし、別の疾患の治療のために処方されているケースも多々あるため、使用方法を変更する際は必ず医師の指示に従いましょう。

高血圧の治療には主に薬物療法か生活習慣の改善

高血圧の治療は降圧剤を用いた薬物療法、生活習慣の改善が基本です。
生活習慣の改善は、バランスの取れた食生活と適度な運動、疲労や睡眠不足の解消などが挙げられます。
一次性・二次性ともに、この治療法は共通しています。

その一方で、降圧剤は原因ごとに使用する薬品が異なります。
種類によって作用するポイントや血圧を下げる仕組みが異なり、医師による診断が不可欠です。
医療機関では、さまざまな種類の降圧剤の中から個人の症状や進行度合に見合った薬品が処方されます。
また、降圧剤による治療は血圧を下げるだけではなく、心筋梗塞や脳梗塞など高血圧が重症化した際に発症しがちな、命に関わる合併症を予防する意図があることを肝に銘じておきましょう。

もう片方の生活習慣の改善方法において、最も大切なのは食生活の改善です。
高血圧の方は、気付かないうちに血圧を上げるような食生活を送っています。高血圧と診断されたら、まず改善したい箇所です。

特に、塩分の摂取量は見直す必要があります。
日本は世界から見ても塩分を摂り過ぎる傾向にあり、1日あたりの塩分摂取量を6g未満にまで下げることを目標にしなければなりません。
近年の報告ではメタボリックシンドロームと診断された方ほど、塩分の影響を受けやすいという報告もあるため、塩分には注意が必要です。

他にも食生活を通して言えることは、食べすぎ・飲みすぎの見直しや内蔵脂肪型肥満の解消がポイントとなります。
個人差はあるものの、体重を4~5kg減量させることによって血圧の低下が期待できます。
間食や夜食の習慣も肥満へと繋がり、そこから高血圧へと直結しやすくなります。
夜間はただでさえ身体の消費エネルギーが減るため、脂肪を蓄積しやすい状態にあるため注意しましょう。

日頃運動をしていない場合、こちらも適度な運動を習慣にする必要があります。
運動により、交感神経の働きが低下して血管が拡張して血行が良くなったり、利尿作用が高まる結果体液量が低下して血圧が下がります。
中でも筋力トレーニングなどの無酸素運動より、ウォーキングやサイクリング、ランニングや水中運動といった有酸素運動が身体に負担も少なく適しています。
ただし運動中は一時的に心拍数が上昇し心臓に負担をかけるため、過度に行うと逆効果なので注意してください。

アルコールやタバコを控えることも、降圧には必要なことです。
飲酒によって一時的に血流が良くなり血圧が下がるということは有名ですが、一定量を超すと反対に上昇させる結果に繋がります。
またタバコも同様に上昇を招く上、動脈硬化を促進する危険な代物です。
肺がん・喉頭がんの可能性も高まるため、健康を考慮してできれば禁煙を志したいところです。

この他に、普段の生活で気をつけたいポイントにも触れていきます。
冬、夏といった極端な季節は特に注意が必要です。冬場は寒さの影響によって血圧の変動が大きく、管理が困難となります。
起床時や入浴時など、強い寒さが心拍数を上げるためエアコンのタイマー設定などで調整するようにしましょう。

反対に、夏は水分不足が原因で血圧が高くなりがちです。
高血圧ぎみの方が水分不足に陥ると、血管が詰まりやすい状態になります。
夏は意識して、こまめに水分を補給するようにしましょう。